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憎む理由?
……一つは、頼みもしねえのに、俺に残したもののせいだ。
……もう一つは……あいつが母さんを殺したも同然だからだ。
……そして……いや、最後はどうでも良い。
とにかく、そんな所だ。
俺が、親父をここまで憎むのは!
*
眠い……見知らぬ文字が書かれている所を見ると、どうやら、うつらうつらと寝ていたようだ。
「『共鳴体』が最初に発見されたのは二十一年前。電磁波の共鳴現象が各地で多発する中、飯田弘博士とその研究グループが」
八神勇樹は、円周上に机が配置された講義棟で黒板に書かれている字をボケッと眺めていた。他の人間の対応は多種多様。眠っている者、勇樹同様、ただ眺めている者、真面目にノートを取っている者……
「特定の周波数と一定のエネルギーが揃うと、電磁波は実体化する事がこの時、初めて実証された訳です」
だが二十人ちょっとの出席者の内、三分の二は寝ているこの状況を教師は咎めようとはしない。
(そりゃそうか。結果が全てだもんな。学校とは違う、か)
「その生体は、今現在でも詳細は不明であり……」
カツカツ、と書かれるその文字を眼だけで適当に追う。
「それからはこの共鳴体をいかに撲滅するかが問題となりました」
強力な電磁波は細胞や遺伝子に重大な悪影響を及ぼす。共鳴体を野放しにしておくのは人間にだけではなく、自然界にとって極めて危険だ。しかも性質の悪い事に人を襲う事もある。
その対処策として、一般市民は外出時には電磁波遮断用の繊維を用いた衣服を着用する事が義務付けられた。電磁波のエネルギーを殺ぎ落とすべく、一部の人間だけしかその場所は知らないが(テロを未然に防ぐ情報操作らしい)大規模な電磁波中和装置も設置されたそうだ。
根本的な改革として、可能な限り電磁波が出ない社会を作り直そうともしたが……高度に発展した社会は、電磁波の巣窟である。共鳴体の出現を全て封じ込める事は出来ず……
「最近では、共鳴体を利用した人為的犯罪も横行しています。これらを取り締まるのが、我々『インヴィテイション』の勤めで」
そんな事は、わかりきっている。危険な事くらい、わかっている。だが、勇樹は、やらなけらばらない。
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