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「不安だ。思い切り」
だが少年の不安はよほど大きいのか、彼はぶっきらぼうにそう言い放った。
「ええと……栗山誠二君、でしたか。神経適合率は今回の生徒の中では一番の八十二%」
「そうだ」
苦笑する一枝に、顔色一つ変えずに返答する誠二。勇樹は平静を装うとしていたがうまくいかず、一枝と誠二を見比べるのみ。
「せ、誠二……失礼が過ぎるわよ!」
誠二の脇にいた同い年くらいの気の強そうな眼をした少女は彼と知り合いなのか、肘で小突くが、誠二は鼻を鳴らすのみ。
もう一人のショートカットの女性はこのやりとりに不穏な空気でも感じたか、顔色がよくない。
「いいんですよ。年もそう離れていないですし、不安なのはしょうがないでしょうから」
ハハハ、と一枝は何でもなさそうに頭を掻いているが……
自分達と同い年の教官。
失礼極まりない同僚。
この事態に震え続けている女性。
(こんなんで大丈夫なのか、俺?)
思わず天を仰いだ勇樹の眼に映ったのは、黒い染み。
まるで、自分の前途を暗示しているかのようだ。
「えーと。それでは、皆さんの適正を一応、見させていただきます」
勇樹達四人は、ヘッドギアとジャケットを装着すると、別の部屋に移動していた。広さは結構あって、部屋には幾通りかの武器が置いてある。短い剣、大きな剣、槍、鞭、銃……
「……適正って言われても、何を使えばいいんですか?」
勇樹は感じた疑問をそのまま口にした。
正直、どれを扱えばいいのか見当もつかない。
「最初はフィーリングで。選んだ武器があっていないか、他にもの凄く相性が合うのがあれば、こちらからアドバイスを出します」
誠二はすでに剣を握っていた。少々長めの短剣を二本。
それを軽く数度振る。
「僕はこれで良い」
何か感じる所があったのか、誠二はあっさりと自分の武器―『クエス・アンド・アンサー』―を決めてしまった。
(そんな適当で良いのか、おい?)
「ええと、白名さんは……本当にそれで良いの?」
「……は、はい……空手、やってましたんで」
自分よりも年上に見える女性は、怯える幼子のように答えた。
とても武道の経験者には見えないが、手甲や膝当て、肘当ての付け方は手早く、正確だ。
「きゃぁぁぁあ! な、何よこれぇぇぇえ!」
悲鳴を挙げているのは誠二を止めていた少女。彼女が握っているのは、八本に分かれている鞭。それが意思を持ったように……そう、暴れているという表現が適切か。床を抉り、壁を破壊し、蛍光灯を割っているのだから……
「暴走気味だけど……訓練もつまないうちから『グリンガム』が使えるなんて」
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