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それを踏みつけてやれ!
鼻息荒く一歩を踏み出す。
ズシ、と重い感触が足の裏に伝わってきた。
「八神さんが歩いてる!」
香の指摘に全員が注目した。
汗が頬を伝いながら、今度は右足を空中に出す。
ズシン、と一歩目よりも重い感触が足の裏に響く。
「あ、ちゃんと歩いている!」
「……早く僕にもやらせろ! あいつだけずるいぞ!」
下でのやりとりを無視し、勇樹はさらに三歩歩いいた。が、それが限界だったのか、ふらふらと浮きながら彼は降りてきた。
「ど、どうすれば良いの!」
「朱実ちゃん! ちゃんと浮くイメージをして!」
「……良くあんな器用な浮き方が出来るな、朱実も」
「単なる馬鹿だ、あいつは」
「……面白い」
朱実は足が天井を向き、頭を床の方向に向けて浮くという奇妙な状態に陥っていた。
一枝の横で休んでいる勇樹の呟きが耳に入ったのか、朱実の隣できちんと浮いている誠二は呆れ気味に嘲る。香はこういった分野が得意なのか、歩くのはおろか、すでに走り始めている。どことなく顔には笑みがある。
「香さん、気をつけて!」
「は、はい!」
しかし、香の返答に一枝は困惑の視線を送るだけ。
本当なら、今すぐにも香を追いたいのだろう。が、眼の前にはまっさかさまになって浮いている朱実。
「……白名さん、追っかけても良いですよ。脇に栗山もいますし、落ちそうになったら俺が受け止めますから」
「……大丈夫?」
心配そうな眼は、万一の時、朱実をちゃんとキャッチできるかどうかという意味合いは勿論含まれているのだろうが……
(……クソッ! 身体が、重い!)
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