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部屋の隅に置かれていたマントとブーツに、皆の視線は釘付け。
(……うーん……全員一斉にやるのは、危ないよね?)
朱実は、きっと暴走する。それを止めるのは一苦労だ。
香をやらせると、周囲に気をつかって集中出来ないだろう。
誠二は、言うまでも無くスタンドプレーをする。
最初は、勇樹にやって貰うのが良さそうだ。
……消去法で順番を決めると言うのも、ずいぶん情けない。
一枝は息を一つつき、
「じゃあ、まず勇樹君がやってみて」
「俺ですか?」
勇樹を指名するが、勇樹本人は意外だったのか眼を丸くしている。
(……実力的には栗山が適任だろうに)
誠二との実力差は、先日の一件で思い知らされている。協調性を取っ払って考えるならば、ここは誠二が適任なのは間違いない。
(ま、やるだけやってみるか)
一枝からマントとブーツを受け取り、ヘッドギアをつける。
念じる。浮け、と。
「おぉぉぉお?」
「……ふん」
「……浮いてる……」
高さにして約五メートル。勇樹は自分の体を浮かせる事に成功していた。
(……しっかし……動きづらい……!)
浮く事には浮いたのだが、重力制御ブーツの力で空中を踏むのが難しい。イメージした『空間の歪んだ地点』に足を繰り出すが、
「うわ!」
「きゃあぁあ!」
「……!」
「危ない!」
足はものの見事に空振りし、急降下。一枝が勇樹を受け止めるために落下地点に動き始めている。
(や、やべえ!)
だが一枝の動きを見ている余裕は、背中からまっさかさまに落ちかけている勇樹にあるはずもない。
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