|
「まったく! こんな事故は前代未聞ですぞ!」
「いかに優秀な『インヴィテイション』と言っても、教師として優秀であるかどうかは別問題という事ですな」
「校長。この問題に対し、どう責任をお取りになられるのですか!」
職務室では、七人の男性が円卓を囲んでいた。そして、円卓の椅子に座らずに、立っているのは白髪の女性。一枝である。
「……申し訳ございません」
「謝ってすむ問題ではないのだよ!」
頭が禿げ上がった男性が卓に拳を叩き付ける。
「まあ、今回は犠牲者が出なかったのが幸いですね」
しかし、その剣幕もどこ吹く風。孝弘は涼しげな声で返答した。
「校長! 犠牲者が出なかったのは単に運が良かっただけです!」
「比留間氏の仰るとおりです! 校長!」
「責任問題ですよ、これは!」
六人の怒号に、孝弘は眼を閉じ、無言でしばらく聞き入り。
「ふむ……では、あの班編成を推し進めたのは誰でしたかな」
この一言で、黙らせた。
「は、班編成の件がどうしてここで」
「責任。確かにその通り。私、神孝弘の不徳と致す所」
黙殺し、ゆっくりと瞼を開けた。
「何しろ、皆様方が推し進めた班編成の結果がこれですからな。それを管理、注意出来なかったのは確かに、私の責任」
一言一言、噛み砕く。
「私は、この班編成でよろしいのかと、何度も確認を取りました……これでは事故が起こりかねない、と再三申し上げたはず。あれほどアンバランスな配置は校長について四年、教師時代八年、計十二年を通して見た事がありません」
校長権限を用いてでも、班の再編成をすべきでしたかな。
一言を紡ぎ、全員に、鷹のように鋭い眼光を放ち、
「共に責任を取って頂けますね? 特にこの班編成を強硬に主張なされた工藤、比留間、朝倉の三氏は」
六人の中でも、恐らくは発言力の高い人物を名指しする。
「そ、それは責任転嫁という」
「委員会へ資料を提出しましょう。その方が、より公正な判断を仰げるでしょう。栗山誠二、原朱実、白名香、八神勇樹の詳細なデータを」
孝弘の言葉が、彼等にとっては致命的にまずいものだったらしい。六人は互いに目配せを始める。
|