|
誠二は室内で朱実に説教をされている。『どうしてあんな危ない事したのよ!』『僕がやったんじゃない!』という両者の主張が壁を越えてビリビリと伝わってくる。
そこから逃げるように勇樹は屋上に上がった……が、先客がいた。
ベンチに腰掛けた香だ。よく晴れた夜空ではなく、自分の手を凝視して。
歩み寄る勇樹に気付いたのか、香はこちらに顔を向けたが、すぐに顔を伏せた。
「……す、すいません」
何を突然言い出すのであろうか?
勇樹が訝しげに眼を細めると、
「あ、そ、その……今日の、栗山さんを援護するかどうかの……」
香は下を向き、ボソボソと続けるがそこから先は聞こえない。
「……どっちが間違い、正解、って訳じゃあないでしょう」
その一言で香はほっと胸を撫で下ろす。
(……自分に言い聞かせているんじゃないのか、その言葉は?)
……自分は悪くない、と……あれがベストの判断だった、と……
「八神さんはどうして『インヴィテイション』になったんですか?」
悶々と考えていた所に質問されたため、勇樹は即答出来なかった。その僅かな間を埋めるように、香が口を開く。
「私の両親は……十二歳の時に、死にました」
「え?」
話に脈絡がなく、しかも淡々と言われたので、勇樹はその意味をつかめなかった。
「眼の前で、共鳴体に殺されたんです」
「……そうですか」
インヴィテイションになった理由。
共鳴体に対する復讐、か。
|