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「白名さん?」
「本当に、逃げるんですか?」
本来、そのような危険な状況になれば、緊急停止装置が働くのだが……パネルが壊され、コントロール不能の今の状況では、怪しい。
「……これが、ベスト。最良の選択です」
「彼が死んでも、私達は生き残れる。彼を囮にすれば、確実に自分達は逃げ切れる」
「!」
心中を見透かされたかのように、勇樹の動きが固まる。
「違いますか?」
香の問いに、勇樹は答えない。
(……逆だろう! 誠二を確実に助けるために、自分達は退くんじゃないか! どうしてわからないんだ!)
……本当に、そうなのか?
自分の命惜しさに、逃げるだけじゃないのか?
そうだろう?
人を助けて自分が死ぬなんて、馬鹿じゃないか?
葛藤に、勇樹が硬直していると、
「何をしている! 後ろだ!」
誠二の怒号。声に弾かれ、相手の確認もせずに勇樹は『ハウル・オブ・ヒート』を振り向き様に連射する。
しかし、放電しつつ形勢された共鳴体は先程同様、腕を振るっただけで弾を叩き落す。前方にいた香は柳のような動きで共鳴体に滑り込む。手甲を装着した右手を当て、
「はっ!」
裂帛の気合い。胸を起点に爆発が起こり、共鳴体はよろめくが……それだけ。何事も無かったかのように右腕を振り上げる。
誠二はこの時、前方に立ち塞がる共鳴体になりふり構わず攻撃を仕掛けた。一刻も早く眼前の敵を倒し、香を助けるためだろうか。
だが、勇樹は、迷った。
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