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スマートなフォルムのヘッドギアを被った勇樹の顔には、クマができていた。凄く眠そうだ。
「……勇樹君……昨日は、眠れなかったの?」
演習場に呼び集められた他の三人は、疲れているようには見えない。誠二は仏頂面だし、そんな誠二を朱実がたしなめ、香は相変わらず怯えた顔付き。昨日と全く変わらない。
変わっているのは……勇樹のやつれ具合。
「……はい、眠れませんでした」
(……あれで眠れる奴がいるなんて……)
誠二の無愛想を朱実が叱るのでうるさい事この上無い。
就寝時間になってようやく眠れると思ったら、朱実の馬鹿でかいイビキ……誠二は持ち前の図太さからからかそのまま眠り続け、香は神経を張り詰めていたからだろう、糸が切れた人形のように深い眠りにつき……図太くも無く、繊細でもない勇樹は、朱実の巨大なイビキを聞き続け……
(……どうして俺は、朱実を叩き起こさなかったんだろう?)
……体調は最悪だ。
ゾンビのような勇樹の眼差しに、思わずあとずさる一枝。あからさまに眼を逸らし、咳払いをする。
「え、ええと、それじゃあ今日は武器の扱い方を教えます」
「剣で共鳴体を切れば良いんだろう? それ以外にどんな使い方があるんだ?」
容赦なく突っ込む誠二。
「そうだね。君の場合は……間合いの詰め方とか、距離の取り方とかを、模擬戦で」
「……あの……私、は?」
「香さんは……じゃあ、誠二君と一緒に……」
香から視線を上げると、誠二はすでに集団戦用のシュミレーションルームに向かっている。
「ちょ、ちょっと誠二君! 勝手な行動は」
「キャアァッァア! 鞭がぁぁア!」
脇ではまた『グリンガム』が、使い手である朱実をがんじがらめにしている。床や壁を破壊していないだけ、昨日よりはマシだが。
一枝は額を抑えて、
「……勇樹君、君は香さんを連れてシュミレーションルームに行ってて。すぐに私も後を追うから」
それだけ言い残すと、朱実に絡まった『グリンガム』を1本1本慎重に外していく。
まだ大した指導も受けていない自分達が単独行動をするのは、あまり良くないのではないか?
勇樹は思うのだが、脇では香が所在無さげに佇んでいる。
何より、誠二を一人にしておくのも考え物だ。そう思った勇樹は、香と共にシュミレーションルームに向かった。
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